19坪でも広々暮らせる住まい 『緑区Ⅰ邸』
ご飯がおいしくなった木と漆喰の家
敷地面積 139.45㎡(42.19坪)・延床面積 62.19㎡(18.80坪)
■ I邸の完成は昨年2024年の秋。最初の冬を越して、これから初めての夏を迎えます。 そんな時期にI邸を訪問しました。
蒸し暑い日だったのに、お家に入ると涼しいだけでなく気持ちがほっとします。 北側の勝手口から通り抜けの土間があり、抜けた先のお庭は半分ほどが畑になっていました。
外壁は無垢の杉板張りですが、それを保護する自然塗料を、実はIさんがほぼ一人で塗りました。以前に、お友だちが取得した中古住宅のリフォームで漆喰壁塗りを手伝ったこともあり、できることはDIYでやりたいというIさん に、お話を聞きました。
✿ Iさん
『これまでマンション住まいでしたが、長く空き家になっていた夫の実家の劣化がひどく、とりあえず解体したものの、今度は草丈 2mもの雑草がはびこり、どうにかしなければと選択を迫られて、家を建てることになりました。新築にあたりまず考えたのは、「シンプルで小さな家を低予算で」ということでした。 フランチャイズ店が出していた 1000 万円台の規格型住宅も見学しましたが、やはり「無垢の木を使いたい、漆喰を塗りたい」という気持ちから、オルタスクエアに相談することにしました。
●設計をお願いした建築士の堺原さんには、「60代夫婦と猫が住む小さな木の家。高齢になっても暮らしやすい家」 ということをお伝えし、その後何度も打合せを重ねながら「躯体はしっかりと、あとは質素に簡素に」という方向で進めていただきました。
完成したこの家は、空気が気持ちいいです。夫は、「ご飯がおいしくなった」と言っています。畳3枚だけの和室で寝転ぶと、大工さんが苦心して組んでくれた格 (ごう) 天井が目に入り、にんまりと眺めてしまいます。
緩やかな角度の階段や手すりの手触りも、昇り降りのたびに心地いい。2階の居室の引き戸は、いなかの家を解体した時のものを再利用してもらいました。古びた建具や使い込んだ家具もおさまるべきところに収まった感があり、とても満足しています。吹き抜けの梁(はり)の一部にキャットウォークを作ってもらったのですが、猫は想定外に梁全体を自在に渡り歩いています。 既にオ シッコのシミらしきものも見えるけれど、人間は手も足も出せません。猫はこの家に来て 元気になったと思います。』
和室土間を上がるとLDK、その奥には和室/作り付けベンチ下の収納は大容量
2階北側の居室 本棚奥は屋根勾配を利用した納戸/猫は梁から納戸のまでに飛び込みこのベッドでくつろぎます。
土間を挟んで東側にあるトイレは杉板と腰壁と漆喰塗の内装
漆喰壁がきれいに輝く階段
木の手すりが心地よい/2階には居室が二つ
Ⅰさんの田舎の家で使われていたものを再利用した二階の居室引き戸/今では入手困難な昭和「型ガラス」のレトロな味わい